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微積物理のメリット・デメリット・必要性【元駿台生の体験談】

こんばんは。理系北大生の如月です。

 

理系難関大を目指す大学受験界では、しばしば微積物理の是非が話題になります。

特に、駿台物理科は、微積分を積極的に用いる授業を展開することで有名です。

 

その元駿台生の僕が、微積物理のメリット・デメリット・必要性について語ろうと思います。これらは、僕の体験談に基づくものです。 

 

ただ、結論を初めに言うと、

 

大学受験で微積物理は殆ど必要ない!!

 

 

なぜそう思うのか? 殆どとはどういうことなのか?

その理由も含め、以下では、微積物理について掘り下げていこうと思います。

 

 

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そもそも微積物理とは

 

微積物理とは、微分積分を用いて物理現象を体系的に理解する手法です。

高校物理では、基本的に微分積分を用いないので、微積分を用いる物理を邪道と思う人がいるかもしれません。

しかし、実は微積を用いる物理学が本質です。

 

 

微積物理は、微分方程式を解いたりして難しいので、高校物理では、公式化して簡単に扱おうとしているのです。

また、微積分が必要になる部分は、高校物理では誤魔化して説明を避けていたりします。

言うなれば、高校物理は、ショートカットしているのです。

 

微積分を用いない物理と微積分を用いる物理の二種類があるのではありません。

ただ、微積分を用いない高校物理と対比して、本来の微積分を用いる物理を便宜上、微積物理と呼んでいるだけです。

 

高校物理の公式も殆どが微分積分を用いて導出されています。

力学の公式は運動方程式から導出、電磁気の公式はビオ・サヴァールの法則から導出、など他にも沢山あります。

大学での物理学は、微分積分を用います。

更に言うと、微積分学は物理学の為にニュートンが作ったとも言われています。

ライプニッツ微積分学の父ですが。)

 

 

微積物理を推す駿台

 

駿台物理科では、微積分を用いて授業が展開されます。

ただ、実は、関東の駿台と関西の駿台で、少しその実態が異なります。

関東では、微積分を積極的に用いて物理の授業が展開されます。

しかし、関西では、微積分を用いるのは公式導出や原理の解説の時のみで、問題を解くときは用いない講師が多いです。

関西の中でも、意見は結構分かれるようですが。

 

※余談ですが、全国展開している駿台は、関東と関西で派閥が違います。

授業や講習のテキストも関東と関西で違いますし、講師同士の仲も関東と関西で良くないだとか最近は普通だとか……。

 

そして、関東と関西で、更には関西の駿台の中でも、意見が異なるのは、次から紹介するようなメリットとデメリットがあるからです。

 

 

微積物理のメリット 

 

本質の理解

 

本質の理解に近づく。

これが最大のメリットだと思います。

微積分を用いないと説明出来ない数式などがあります。

原理を理解する所では、微積分が必要です。

そういうことだったのかと、驚かされるのと同時に、物理学が実に体系的に構成されていることにも感動を覚えます。

(僕は学が浅いので、まだまだ勉強です。)

 

これまで、高校物理では、曖昧にされてきて疑問だった部分が氷解するので、勉強していてとても楽しいです。

逆に、高校物理は、微積分を利用して導出する過程は難解なので、すっ飛ばして公式化していたのだとも言えます。

 

微積物理が背景にある難問を解き易くなる

 

難関大の入試問題で見受けられる、微積物理が背景にある難問を、解き易くなります。

出るとしたら、旧帝大東工大・医学部でしょうか。

中でも出題の可能性が高いのは、東大京東工大だと思います。

慣れていないと、本番で少し戸惑うかもしれません。

 

また、大学受験において、微積物理は、電磁気分野で特に威力を発揮します。

 

 

微積物理のデメリット

 

入試で解くのに時間が掛かる

 

入試問題によっては、微積物理を使うと遠回りになり、余計に時間が掛かることがあります。

基本的に、大学の入試問題は、微積物理を用いずに高校物理の範疇で、正解を導けるように作問されています。

(勿論、微積物理の方が本質なので、微積物理を用いても、正解には辿り着けます。)

高校物理は、微積分を用いて導出する面倒な過程を省略しているので、高校物理の範疇で解いた方が早いことが多いです。

 

ただ、例外として、メリットの方で述べたような、微積物理が背景にある難問では、微積物理を用いた方が楽な場合があります。

 

慣れるまでに多少時間が掛かる

 

微積物理を運用しようとすると、慣れるまでに時間が掛かります。

個人差がありますが、それまで馴染みの無かった人が、微積物理を使おうとすると、慣れない手順や形に初めの内は手間取ります。

微分方程式などは、特に慣れないかもしれません。

今まで公式を使ってショートカットしていた分を厳密にやろうとしているので、当然のことではあります。

 

 

大学受験における微積物理の必要性

 

冒頭で言った通り、大学受験で微積物理は殆ど必要ないです。

基本的に使うのは控え、公式導出や原理を理解する時に使うのが良いと僕は思います。

駿台人気講師も某四谷学院講師もそう言っていました。

 

先ずは、現象や原理の理解が優先ですから、そこをクリアした人だけが学ぶか迷うべきです。

四谷学院の講師は「高校時代、微積物理に傾倒して物理現象の理解を疎かににしたことを後悔している。しかも、大学で微積物理をやる。だから、俺の授業ではあまり微積物理を使わない。」と言っていました。

更に、ある程度の数学力も必要です。

単に憧れて手を出す代物ではありません。

そこの所を勘違いしている学生は、一定数いそうです。

 

対象者

 

殆ど、と書いたのは、例外があるからです。

メリットの所でも一度触れましたが、

旧帝大・医学部志望の人は、部分的に微積物理に触れておいた方が良いと思います。

特に、東大京東工大志望の人が多少必要かもしれません。

僕が浪人期にその三校の過去問をそれなりに解いた感じ、この人達は、デメリットを上回るメリットがあると思いました。

飽くまで僕の意見ですが。

 

ファラデーの電磁誘導の法則なんて思い切り微積分ですから、きっと難関大志望の人は、微積分を電磁気分野で一度は用いたことがあると思います。

その延長線上で、頻出で微積分を使った方がスムーズにいきそうな問題だけ、どう使えばいいかを学ぶと良いと思います。

 

微積物理が有効な分野

 

微積物理が有効な分野としては、個人的には以下の分野が考えられます。

括弧内には、微積分をどう使うと良いかが書いてあります。

公式導出確認は、本質の理解に繋がると思います。

・加速度、速度、変位の関係(公式導出確認)

・単振動(公式導出確認)

万有引力の法則(公式導出確認)

・電位・電場(公式導出確認・解く時に使用)

・面電荷コンデンサーの電荷(公式導出確認)

・導体棒の電磁誘導(公式導出確認・解く時に使用)

・コイルの自己誘導・相互誘導(公式導出確認)

・交流回路(公式導出確認) 

 

後は、高校物理の範囲で解く方が良いと思います。

デメリットに見合う恩恵を受けられない気がします。

大学受験の力学などで微分方程式を解く必要はないと思います。

 

 

微積物理の参考書の紹介

 

最後に、微積物理の参考書を二つ紹介します。

 

新・物理入門

  

新・物理入門 (駿台受験シリーズ)

新・物理入門 (駿台受験シリーズ)

  • 作者:山本 義隆
  • 発売日: 2004/05/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

駿台から出版されている「新・物理入門」です。

大学受験界では、有名な一冊で、著者は、駿台物理科の権威、山本義隆師です。

非常によく纏められていて、読んでいて楽しいので、一度見てみることをお勧めします。

微積物理に取り組む取り組まないにしろ、参考になると思います。

微積物理の雰囲気を掴めますし、駿台物理科の授業もこの本に沿った内容である気がします。

 

更に、微積物理で問題を解きたいという人は、合わせて「新・物理入門問題演習」という参考書を使ってみると良いです。

ただ全部やる必要は無く、頻出分野に限ってください。

一人だけ僕の友達も使っていましたね。

 

新・物理入門問題演習 (駿台受験シリーズ)

新・物理入門問題演習 (駿台受験シリーズ)

  • 作者:山本 義隆
  • 発売日: 2005/11/01
  • メディア: 単行本
 

 

 

理論物理への道標 

 

 

 

 

 

河合塾から出版されている「理論物理への道標」です。

「新・物理入門」に知名度は劣りますが、こちらも評価が高いです。

京大に行った高校の同級生が使っていましたね。

上下二冊の構成で、結構量がある印象です。

ただ、あまり書店に置いてないかもしれないですね。

 

 

最後に

 

僕の体験談に基づいて、微積物理のあれこれを語ってみました。

個人的には、微積物理は好きですが、浪人時代には必要以上に手は伸ばしませんでした。

手を出す人はよく考えてみてください。

飽くまで、これは僕の考えですが。

微積物理に興味がある人の参考になれば嬉しいです。

 

 

 

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